部品箱に PQ1CZ1 がありました。
チョッパ式レギュレータなので負の定電圧ができるとのことで、両電源モジュールを作ってみようと思いました。
久しぶりの工作で、ワクワクと不安が入り混じっています。
部品の位置決めに時間がかかりましたが、回路は IC に全部入ってるので説明書通りにインダクタとコンデンサを付ければ出来上がり、のはずです。
はんだ付けし終わった基板に目を通してから電源につなぐ。電流計を見ながら徐々に電圧を上げていく。電流計が一瞬振れるがすぐに落ち着く。これはコンデンサへの突入電流。はんだ付けのミスはない。
さて、出力電圧を見てみましょう。
正電圧側は 7.6 V、しかし負電圧側が -1.5 V。
なぜだろうと思ってインダクタを見てみたら規則的な発振があります。IC はちゃんと動作しているので…
あぁこれはフィードバック用の抵抗分圧を逆につけてるんだなと修正。
抵抗分圧の基板側はデータシートを倣って R1= 1 kΩ としました。こうして足を出してやると外付けの抵抗で可変したり微調整したりできます。
このとき使った R2 は 5.1 k で、出力は ほぼ計算通りの値です。
自分用メモ:
R1+=0.999 kΩ、R1-=0.997 kΩ。端子は左から Vin、V+out、R2+、GND、R2-、V-out。
抵抗を付け直して↓
ハイ、出来上がりです。
いやー当たり前ですがきちんと部品を付ければちゃんと動作しますね~それではまたいつかどこかで~
と終わるはずもなく。
本当に想定どおりに動作しているでしょうか?
話はもう少し続きます。
負荷テスト
仕様ではスイッチング電流は最大 1.5 A。このモジュールでそこまで大電流をとろうとは思わないです。しかし抵抗分圧レールスプリッタや TJ7660 と違ってレギュレートされた両電源なので、定格 500 mA くらい出てくれるとうれしいですね。
最初は 10 mA でテスト。
いきなり負電圧側で問題発見! 正電圧側がつられて揺らいでいます。
この問題は、入力コンデンサの位置が悪いために起こっています。
1000 uF を IC のすぐそばにつけてみたところ、この揺らぎは劇的に改善されました。
「なるべく IC の近くに」ですね。
データシートに記載されている回路図 (定数) が正負で異なり、正では 210 uH / 470 uF、負では130 uH / 2200 uF となっていてよくわかりません。大きなインダクタンスが必要ないっぽいので、手元にある 100 uH にしました。
なお、正電圧側では目立ちませんが負電圧側では負側に大きなスパイクが表れます。
チョッパ式の極性反転はそういうものなのかな。
こんな感じで付け外しして試しましたが、結局最初の 100 uH に戻しました。
電流取らないなら可変インダクタもありかなと思いましたが今回はやりませんでした。理想的な波形が分からないと意味がないです。
知らないこと、分かりたいことだらけです。
平滑チョークコイル
Vin 13 V、Vout± 10 V、負荷電流 -100 mA での両電源の波形。
だいぶまともに動作するようになりました。なにせ入力コンデンサの効果が絶大でした。
しかし、見てわかる通りスパイクが大きいのが気になります。
DC-DC コンバータ回路では出力の末端あたりに直列に挿入されたインダクタ (平滑チョークコイル) があります。これをやってみましょう。
ブレッドボード上の出力に 10 uH のインダクタを直列につないでみると以下のような波形になりました。
-250 mV のスパイクが -60~-20 mV にまで縮んだので改善されていると言えるでしょう。
ただ、GND 側にも少し振れるようになってしまいました。インダクタを 1 mH にしたときも GND 側に大きく振れました。ということはチョークコイルのインダクタンスが大きすぎるのかなと思います。
お楽しみタイム
さぁ、前に作った電子負荷を使って正電圧側をいじめてみましょう!
* 電子負荷にはモニタをつけようと思っていたのですがやらずじまい… 蓋を開けて直接 電流検出抵抗の電圧を見ます。
1 A 出ることは出るみたいです。LED 用とかテキトーな用途なら良いですがこの波形を知っていたら使う場所は限られてきます。
電源と名乗るには少し頼りないですが、しかしながら DC-DC コンバータモジュールってこういうものな気がします。100 円そこらの電子工作用のやつ (いやこういうこと言わないほうがいいな…)。
負荷をかけて重くしていくとキーン↗という音が聞こえてきてかっこいい。4-8 kHz あたりなのでイヤホン越しでも聞こえました。
なお、負電圧側はシンク型電子負荷ではテストできません。
http://literature.cdn.keysight.com/litweb/pdf/5992-3625JAJP.pdf
正電源に対して電力を吸い込んで消費するのが正の負荷、負電源に対して電力を流し込んで供給するのが負の負荷とのこと。どうやらもう 1 つ電源が必要なようです。
次から次に新しいことをしているといつまでたっても日記が書き終わらないのでこの話はいったんここで切り上げます。
早く電源が作りたい。僕は電源が作りたいだけなんだ!来年こそは作れてほしい!
完成!
モジュールはこんな感じになりました。憧れの縦基板第一号。
両電源を試してみて、そこそこ動くところまでやってみました。楽しかったですし分かったことが増えましたが、分からないことも増えました。ヘヘッ
一応パーツリストも:
エクール基板
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-06053/
インダクタ 221、101 (、102)
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-08326/
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-08325/
(https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-13970/)
チョッパ型レギュレータ *2
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-01573/
導電性高分子アルミ電解コンデンサ *2
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-08299/
チップ積層セラミックコンデンサ 10uF25V2012(30個入り) *取り扱い終了
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-07388/
電解コンデンサ (日本ケミコン LXJ) 1000uF25V105℃ (4個入り)
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-07767/
SBD *2
ebayで買ったよくわからないやつ。SS110 とあるので 100 V 1 A らしいです。
今回の回路の持ちはダイオードにかかってるので、ちゃんとしたのを使った方がよいような気がしますが試作なので。Vf が 0.2 V 程度なのでよいものだと思いましたが、今考えるとインダクタからミリボルト単位を気にする電圧は出てこないような気はします。
すずメッキ線
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-02220/
エナメル線
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-11531/
ここからは余談コーナー
チョッパ式レギュレータ
まえ、KIC-053 が壊れてる!と思ってバラしました。
しばらくしてからこれを知りました。
https://akizukidenshi.com/catalog/faq/goodsfaq.aspx?goods=M-02043
破壊せずに分解しただけだったので、インダクタをつないでコンデンサをつけると動作しました。が、初期電圧が 5 V のところ 7.2 V になっていてどこか壊れてますね。もったいないなー
SUNTAN の多回転ボリュームは秋月で初の初期不良品でした。BOURNS のはこの手で燃やして光ったのをはっきり覚えています。使おうと思って部品箱から取り出したら 2 つとも壊れていてしょんぼり。この手のボリュームは値段が高いですが、蓋を開けてみると美しい造形をしていてなるほどなと思います。高いけど。
画面保護シート
液タブをペーパーライクにしました。